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鏡のようなカウンセラー。 [allegory(寓意)]

優れた心理カウンセラーは、相談者=クライエントの話を文字通りに受け入れるのみならず、クライエントの立場に立ち、まるでクライエントになりきって、その感情を理解するという。


彼女が自分の物語を話し終えるまで、カウンセラーは静かにうなずいたり軽い相槌を返しながら聞き続けた。

彼女が辛そうな表情で語ると「辛かったんですね」、泣き出しそうな話の時には「寂しかったんですね」などと、感情への応答を挟むこともあった。とても優れたカウンセラーとして自他ともに認められている彼は、本当にクライエント自身になりきって耳を傾ける能力に長けていたのだ。


一時間ほどして彼女の話が終わった。

「先生、ありがとうございました。お話を聞いていただいて、とても気持ちがすっきりしましたわ」

そう告げながら女性らしい仕草で静かに立ち上がった白衣の男は、晴れやかな笑顔を残して”自分の部屋”を出て行った。

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