第七百二話_short 姿かたちは変われども [allegory(寓意)]
姿かたちは変われども、その魂になんの揺らぎもない。
明治初期の頃には、新政府の改革によって武士は廃止されてしまったのだが、髷を落とした者の多くはまだ武士の魂というものを内部に潜めており、ふつうの町人の出で立ちをしていたとしてもその実は武士としての誇りを糧に生きていた者も少なくなかったというが……。
それにしてもあんたは、まったくその逆なんじゃあないか?
姿かたちはなにも変わっていないのに、中身が変わってしまったなんて……そんなこと言われてもなぁ……。
「ああら? そぅお? だって私、目覚めちゃったんだもの」
人一倍でかい筋肉質の肉体に髭面を乗っけた剛志が身体をくねらせながら言う。
「これからは剛子って呼んでね!」
了
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