第五百六十二話_short 頭の中にいる [horror(戦慄)]
「幽霊は本当にいるのかと聞かれたら、幽霊は頭の中にいると答えるね」
心霊科学研究者という男が言った。
頭の中に? それはどういうことだ? 幽霊っていうのは、夜中に人里離れた橋のたもとの柳の下とかに出るものじゃぁないの? ああ、それはちょっと古いか。最近なら田舎の古い屋敷に出るとか、どこかの国道でトンネルから出たあたりで出るとか、そんなんとちがうのか? 頭の中に出るって、いったい……。
ああそうか、この人はなんて言ったっけ、そうそう、心霊科学研究者とか。つまりお化けとかスピリチュアルとかそういうのではなくて、もっと科学的に幽霊を解明する立場で言っているにだな。きっとこういうことなんだろうな。
幽霊というものは実際に存在しているのではなくて、頭の中にある脳の想像力の賜物であるということにちがいない。頭のいい人が言うことはやはりちがうものだ。
勝手に一人で納得して科学者という存在に感心して男を見ていると、男が言った。
「いま私が言ったことを証明してみせよう」
科学者が目を閉じると頭が二、三度ぶれるように震えて、頭のどこからか煙のようなものが出て幽霊が現れた。
了
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