SSブログ

第六百三十話_short 家族の秘密 [suspense(不安)]

 大好きな人気作家スティーブン・キング原作の日本未公開の映画をテレビでやるというので、これは是非モノと思って観た。もちろんホラーサスペンスだ。お話は仲睦ましい熟年夫婦の物語だ。ネタばれになっちゃうけれど、大筋を言うと……

 結婚二十五周年の家族パーティーが盛大にとりおこなわれて、子供たちや仕事仲間がみんなで祝っている。夫婦はいつもいちゃいちゃしてて、その夜は若い夫婦のようにベッドで激しくプレイするほどのおしどり夫婦だ。

 ある日、妻が偶然にも車庫のもの入れで犯罪の証拠を発見してしまう。このところテレビニュースで流れている連続殺人鬼に繋がる証拠だ。出張から帰って来た夫が、妻の動向に気がついて、自分が殺人者であることを告白するが、それはもう一人の自分がやっていることで、自分は何も悪くはないし、妻を手にかけることなど絶対にないといい、これまで通り仲良く暮らそうと提案する。しかし妻はいつか夫に殺されるのではないかと妄想したりおそれおののいたり。でも夫の前ではそんな姿を見せずにいつも通りのようにふるまっている。もう二度と人殺しはしないでねなんて言いながら。

 ところが。ここからがネタばれだけど、仲良し夫婦を続けるのかと思いきや、妻は階段を上って来た夫をいきなり突き落として……。その後の後日談も少しあるのだが。

 こういうサスペンスドラマを、人はなぜか好きなんだ。ドキドキ感とか、どうなるのかっていう好奇心を満たしてくれるから。それにしてもあまりドラマにのめり込み過ぎると、まるで自分が主人公にでもなったような気になってしまうのは困りものだ。

 実際この映画を見ながら、私はたぶん人一倍ドキドキしていた。とりわけそんなことをしそうにない温和な妻が殺人者である夫を殺してしまうなんて。なんという展開なのだ。普通なら、夫が妻を殺しにかかる展開だと思うのだが、まるで反対。こういうこともありうるのだな。

 愛する家族が犯人だったら。とりわけ連続殺人なんていう、猟奇的かつ愉快犯的な犯罪者であることを知ってしまったら、どうするだろう。その上知ってしまったことに気づかれてしまったら?

 そう考えるとこういう展開こそがありうるリアルな話しのように思えてくる。

 映画は終わってニュースがはじまっている。

 また近所で殺人事件があったというニュース。今日も夫は出張で不在だ。私は温和な夫の顔を思い浮かべながら思った。ああいう人こそ、さっきの映画のような行動に出るのかもしれないわね。夫には絶対に悟られてはいけない。私は改めてそう思うのだった。 

1428375593.jpg 

                      了


↓このアイコンをクリックしてくれると、とてもウレシイm(_ _)m

                
          ショートショート ブログランキングへ

sponsor site

nice!(4)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 4

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。