第六百三十一話_short 小顔矯正クリニック [horror(戦慄)]
小顔矯正クリニックがすごいのよ。
友人からそう言われて、そういえばそこに通っているという彼女の顔が依然よりも小さく引き締まってきたように思えて、是非是非と場所を教えてもらってやってきた。
「では早速施術しますけど、なにかご質問とかありますか?」
「あのう、小顔矯正って……骨のつなぎ目が緩んでいるのを直すんですよね?」
「ああ、あれは嘘ですよ。人間の頭がい骨、見たことありますか?
言いながら整体師は頭の骨の模型を取り出した。
「ほら、こんなものが緩むわけないでしょう? 確かにパズルのようではありますがね」
なぁんだ、違うんだ。じゃあどういう?
「じゃあ、先生、骨の間にたまったリンパ液を出すんですか?」
「ああ、それも嘘ですね。どちらも、都市伝説みたいなものですよ。そんなことで小顔になれるわけじゃあありません」
「じゃぁどうやって?」
今度は木製のような小さな人形の頭を取り出して言った。
「これを見てください」
「なんですか、ちょっと気味が悪いんですけど」
その頭は人間の頭というよりは拳ほどの大きさのものだった。
「これはアンデス山脈の部族の頭がい骨です。ミイラですね。ほらとても人間の頭とは思えないほど小さいでしょう? 水分を抜いて脳を取り出すと、こんなに小さくなるのですよ、はっはっは」
整体師は楽しそうに笑い声をあげたが、その目はまったく笑っていないのだった。
了
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