第七百四十三話_short パパのお仕事 [ordinary day(日常)]
「パパ、カイサでどんなお仕事しているのぉ?」
三歳になる息子に聞かれて私は胸を張って答えた。
「パパはね、機械のネジや部品を売っているんだよ」
息子は理解したのかどうかわからないが満足そうに「ふぅん」と頷いた。
二十年後。
「親父、最近どんな仕事をしてるの?」
会社に入ったばかりの息子が、父親の仕事に少し興味を持ったようだ。私はどう説明したものかと迷いながら答えた。
「仕事なぁ……壊れた機械のネジを外したり、つけたり……そんな仕事かな」
定年までまだ十年近くあるというのに、私はいま、追い出し部屋と渾名がつけられた地下倉庫でまったく意味のないことをやらされているのだ。
息子は理解したのかどうかわからないが、興味なさげに「ふぅん」と頷いた。
了
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